「んー? 俺達と遊んでくれんのか~?」
ふさふさとした髭を蓄えている男の方が先に、口を開く。
2mは確実にある、途方もない身長差に。私よりは格段に強そうな、筋肉質な腕に。
駄目だと思っていても、庇うようにして開いた両腕はカタカタと震えてしまう。
もう一方の男は、何を言うでもなしにただニヤニヤと私を見下ろしているようだった。
「こ、これ以上……この子に手は出さないで!」
震えながらにも、必死にそう伝えると。男達はチラリと顔を向き合い、信じられないと言ったように大笑いした。
こうしている間にも、何とか少年を逃がせないか考えてみるものの。
私の後ろにいる小さな存在は微動だにしない。
――やや暫く、男達の大きな笑い声が路地に木霊しただろうか。スッと細められた瞳が、再び私を貫いた。
「怪我したくねぇんなら、引っ込んでな。俺ァ、指輪が手に入りゃ良いんだよ」
男はそう言うと、ソーセージのような指を私の後ろにいる少年に向けようとする。
私は何とか阻止しようと、再度少年の前まで躍り出るのだが……
非力すぎる力では、どうすることも出来ずに横へと押し倒されてしまった。
