「おい、小僧。上等な指輪着けてんじゃねーか」
「大人しく差し出した方が身のためだぜ?」
悪い予感は見事に的中してしまったようだ。
近づくにつれて聞こえてくる会話に、いい知れない嫌悪感を抱く。
大男の方は、身なりをみる限り盗賊か何かだろう。
住民に害を与えないのを約束として、出入りを許されていたと聞いていたのだけれど……。さすが盗賊、とでも言うべきだろうか。
彼らの頭には、良心の呵責という言葉が存在していないらしい。
恐怖からか立ち尽くしていた少年を、思い切り壁に叩きつけた。
小さく呻き声を上げて座り込んだ少年。それを見て、下品な笑い声をあげる男達。
もう我慢の限界だ。
「ちょっと、何やってるのよ!」
そう叫んだ後。少年を庇うようにして、男達の前に立ちはだかれば、大男二人の視線は一気に私の方に集中した。
……大丈夫、大丈夫。
半ば言い聞かせるようにして、心の中で唱え続ける。
けれど、震える足は一向に止む気配がなく、嬉々とした4つの目が私を突き刺した。
