こんな場所に来たのは初めてだけれど、改めて思い知らされることがある。
それは、ここが表通りとは全く別の世界ということだ。
再生された世界『イニシウム』の中でも、王都ルシフェルが格段に発達しているのは知っていた。
けれども、それは目に触れる部分のみのこと。
私が足を踏み入れている場所には、太陽の光も差さず、唯一いる動物といえばネズミくらい。
ガラスの破片なども散らばっていて、ところどころに赤黒い液体だったものが付着しているのもあった。
気温も通常の道よりは寒く、ドブのような異臭が鼻腔を掠める。
ふと視線を逸らした先には、座り込んでいる人が数人。
確かこの道は、スラム街にも通じていると聞いたことがある。となれば、この人たちもそういった境遇なのだろうか……
そう考えると無性に胸が締め付けられて、それ以上彼らを直視することは出来なかった。
それから暫く、じっと下を向きながら小走りで道を抜けようと努めたところ。
遥か彼方から一筋の光が差し込む。
きっと、もう出口が近い。
そこで私は、やっとこの場所から抜けられる。と安堵のため息と共に全力で駆けようとした。
けれど
やっと見えた一筋の光の前には、巨大な男達と小さな男の子の姿。
冷や汗が出る程、悪い予感がする中。ここで私は、運命を変える決断をしてしまうことになる……
