「そこをなんとか…!今外出たらまずいんだよ俺!ほら、なんかの縁だと思って!」
「思わないよ!知らない男を家に入れてる時点で有り得ないよ!警察呼びます!」
「呼ばないでくださいごめんなさいごめんなさいまじで」
素晴らしいフットワークで私から離れ、土下座。ひどく腰は低い
でも多分コレを許してしまうと、騙されて殺されちゃうパターンだ、よくニュースで有りがちな。そんなことになって堪るか!
「も、出ていって」
「お願いします!」
「今なら警察呼ばないし、」
「お願いー!」
お願い、を繰り返す青年を前にどうするべきか考えあぐねていた。警察を呼ぶぞと脅しても、土下座姿勢は崩れない。
お願いします
お願いします
お願いしますうううう
「あああうるさい帰って!」
「こうなったら…!」
「な、何」
「誰か優しい人紹介してください」
「…隣のおっさん優しいよ、よく動物拾って来ちゃうし。ここ動物禁止なんだけどね」
「なんかいやだあああ」
「知らないよ、もう……」
「本当にオレ、悪さとかしないし!」
「一人暮らしの女なめないでよ。あらゆる危険因子から身を守っていかなきゃならないの」
「俺、腕っぷしには少々自信が…」
「別に護衛は頼んでない」
「……う」
「な、ちょ、泣かなくたって」
男は私に背を向け目をごしごし擦る
「…行く場所ないんだ」
「そんな」
私ときっと年齢変わらないのに、なんでそんな路頭に迷うことがある?
「お願いです、おねえさん」

