何も話さなくなったと思っていたら、彼はすぅすぅと寝息をたてていた
「……」
「まーた昼間から…」
ピンポーン
「?」
玄関で覗き穴に目を寄せると、ドアの外に立っていたのは男子高校生だった
「リクと同じ制服…」
ドアを開けると、物腰の優しい感じの瞳の大きな青年が私をじっと見つめていた
「どちら様ですか…?」
「失礼ですが…リクという男、ここにいますよね?彼に用があって来たのですが」
ここ、リクの住所に認定されたのか?あのバカ…
「あなたは…お友達さんですか?」
「はい、一応クラスメイトなんですが」
「ごめんね、今ちょっと…あとでもいいかな」
「みさきさん!……祐!?」
背後から声がしたと思えば、血相を変えたリクが走ってきた。起きたのか
「なんっで、オマエ、ここが分かったん!」
「昨日尾けてつきとめました」
「立派なストーカーじゃねーか!」
ふう、とため息を吐いて青年が持っていた鞄を玄関に置いた。
祐と呼ばれた彼は幾分リクより背が低かったが、腕を組んで上目遣いでリクを睨むと、わりと凄味がある。
「いつの間にアパート引き払ったんですか…こんな綺麗なお姉さんのところに転がり込んで」
私を見て少し微笑んだ。戸惑いながら微笑み返す。
とりあえず悪い子ではないな、この子。うん。
「あんまり休むとあとが大変ですよ。いくら考査で高い点とっていても出席日数はカバーできないんですから」
「~…わり。」
「明日はテストがあるので来るべきです。書いてあること全部覚えて来てください」
リクにノートを押し付け、教科書のページ数と思われるものが大量に書かれたメモを渡した。