「ま、それがホントウでもウソでもいいけど」
「…うん?」
テレビを点けた。人気の歌番組で、人気の歌姫が高い声を響かせる
「あんまり心配させないでね」
「え?」
「私達って付き合ってもいないし、よく分かんない関係だけどさぁ…」
「うん」
「私は、リクのこと心配だし。」
「…あ、ありがと」
「変な意味じゃなくて…フツーに家族みたいな、さ」
リクは静かに水道を止め、タオルで手を拭いた。ソファの横まで来て、上半身を屈めた。
顔と顔が近くなり、え?
思考が働かなくなる
「みさきさん」
「、どうしたの」
「…みさきさん…っ」
なにごと?
リクは、私の肩に手を伸ばして、抱きついてきた。
「何してるん…っ」
「……」
リクの返事はなく、鎖骨あたりに触れる彼の熱い喉元が小さく動いただけだった。慣れない感触に、心臓の働きが活発化する
変に熱をもった身体が、私の身体もじわじわと温め始める
力任せではないそれを、振り払えなかった。肩をとんとん叩いてコンタクトを試みる

