風呂に入って現実逃避をし、暫くしてやっとドアの音は止まった。


「げ、もう1時じゃん…」


恐る恐る覗き穴を覗くと、外は平和を取り戻していた。良かった。本当に何だったんだろ

…あれ?

よぉーく目をこらすと、平和とも言い切れない何かを見つけて、施錠された鍵を回した。


「え、なんでなんでちょっと血ついてんの、この廊下」


開けて玄関口小さく点々と血がついており、足跡があった。首を傾けてドアを見れば、少し汚れていた。


「もーまた血かようー!」


私の部屋の前にばっかり血痕残ってたら危ないひとだと思われんじゃんよ、大家さんに見られたら何て言い訳すんだ!リクの件からまだ1ヶ月くらいしか経ってないのに!掃除すんの面倒すぎて引っ越したくなってきた。


掃除についてはさておいて、その血痕を更に観察すると意外な事実が見えてきた

……

「隣の部屋に続いてる…」

……



隣のおっさんんん!





大丈夫か!?これ大丈夫か!?おっさん襲われてない?さっきの犬めっちゃでかかったけど!あ、でも動物めっちゃ好きらしいし…いやそんな問題じゃねええ!

思ったら、夜中未明にも関わらず手はベルに伸びていた。


ピンポーン

「あの…田中…さん?」


ガチョン
「ああ、こんばんは。どうしたんだい?」


眼鏡のおっさんはフツーに出てきた。無事ならいいのだ、と帰ろうと思ってまた驚いた。手に僅かに血がついていた


「そ、れ」

「あ、びっくりさせちゃったね。今ちょっと手負いの動物の手当てをしてて」

「えええ拾っちゃったんですかあのデカい犬!」