「みさきさんってさー」
「うん?」
スイッチを止めて聞き返す。ソファーの背もたれから身を乗り出して、彼が真っ直ぐに私を見ていた
「みさきさんってさ、朝飯食わねぇの?」
「う、うん そうだね」
起きぬけに掃除を始めたことを指しているらしい。思いもよらぬ疑問をぶつけられ、吃驚した
「朝って時間無いし。あんまり食べないかな」
「え~体に悪い~」
ぐきゅううううう
「貴方のおなかはよく鳴るんだねえ…」
「いやはや参りますなっ」
「朝ごはん食べようか?」
「じゃあじゃあ、俺が作ってもいい?」
「…はい?」
彼はいそいそとキッチンに立ち、冷蔵庫を開けた
「あっ鶏肉…たまごーたまねぎー、みさきさん親子丼食える?」
「は、はあ」
元気に動き出したラビを茫然と見つめる。親子丼とか…調理実習以来作ってないよ、私
「♪」
キッチンに立つ彼はめちゃくちゃ楽しそうなので放っておくことにする。
私は私で中断した掃除を再開した
『魔女っ子メーグはーあなたーのここーろにーしっのっびこーむ♪しっのっびこーむ!シャランラ♪』
キッチン方向から変な歌が聴こえる。年代おかしくない?

