俺は間違って生きてきたの?
俺は間違って生まれてきたの?

知るか
わかんねえ

自問自答を繰り返しながら、少し痛む身体を引きずった。
空の上のほうに浮かぶ丸い月は、随分前に大きな厚い雲に隠れてしまった。もう、今夜は晴れないのだろう



少し冷たいタイルに手をかけ、頭をふって理性を保ち、息を整える。まだ見つかってない。…こりゃ、どこかに隠れないとまじーな


「いたか?」

「逃げたらしい!何人か山に廻せ!」


足音と車の音。

おおやべえ、右足を前に左足を前に前に前に前に!




必死じゃねーの、俺。これ程頑張ってるってことは、きっとまだ死にたくないって思っている証拠なんだろう。

まあ…捕まったところで殺されはしないだろうけど。人権はねーだろうな




「あーチクショ、腹減った…体中痛ェ」





ついに壁にもたれて座り込んでしまった。もー嫌だどうにでもなっちまえ

…こんなとこいたら、また警察呼ばれるだろーなあ

赤い頭がごつんと床に付いた。今の俺は幸運なことにあんま痛みを感じない。その代わり無駄に眠い


「ー…」


ちょっとだけ、もう目が覚めなくてもいい、って思っちまった











みにくい獣の子
第一話