an alley cat

昼休み、私は山川先生に呼び出しをされ、職員室へと足を運ぶ。







「黒田、職員室に用事?」



職員室に入ろうとした時、後ろから声を掛けられ、私はドアの取っ手から手を離し振り返った。



「よっ、俺体育委員だからさぁ、昼休みだっつーのに呼び出しくらっちまった」


冬真くんは、そう言いいながら面倒くさそうに肩をすくめる。



「そっか、私は山川先生に」

「はぁ~?また!?こないだもだったよな?」


冬真くんは「うげ」と舌を出した。


「今日は進路調査の事だとかだって聞いてるんだけど」


私がそう言うと、冬真くんは「へぇ」と頷く。



「進路って言われてもあんまりよく分からないんだけど」


私が小さく笑いながらそう言った。


「だぁいじょうぶだって!」


私が不安そうな表情を浮かべていたからか、冬真くんは明るい笑顔で私の肩を強く叩いた。


「痛っ」


私がジンジンと痛む肩を摩ると、「悪い」と冬真くんは悪戯っ子の様に笑った。



「んじゃ」


冬真くんが職員室の中へ入って行く。


私も山川先生に用事があったんだ。


すっかり自分の用事を忘れ、冬真くんと長い事話してた。





「失礼します」



私は深く頭を下げると、広い職員室の中へ足を踏み入れた。







―なんだかこうして生活していたら、


「私は“猫”だ」


と言う事を忘れてしまう位。





すっかり人間生活に慣れてしまった私は、嬉しさに身を浸しながら、毎日を送っている。










―この恋の結末が、たとえ叶わないと分かっていても、



私は生きたい。



この先が、真っ暗な闇だったとしても・・・。