an alley cat

―翌朝。







私は鏡の前に立ち、はねた髪を手ぐしで直す。



薄いピンク色のカーテンを開けると、眩しい光が顔全体に当たった。




―今日もいい天気。






「ふぁあ・・・」



大きな欠伸の後に、伸びをしてから部屋を出る。










「のの~おっはよぅ!」


生徒玄関で上履きを履いていると、後ろから声を掛けてきたのは華夜ちゃん。



「おはよう華夜ちゃん」



私が挨拶を返すと、華夜ちゃんは満面の笑みでこう言った。




「そういえばさぁ、ビッグニュース!」




―ビッグニュース?


私は首を傾げる。





「冬真がさぁ!」

「おはよ」



華夜ちゃんが何かを言いかけた時、声を掛けてきたのは冬真くんだった。



「うわぁっ!冬真!?」


冬真くんの姿を見るなり、慌て出す華夜ちゃんは、どこからどう見ても不自然。



「おま・・・朝っぱらからうるせぇな!」


冬真くんは華夜ちゃんの高い声に、眉間に皺を寄せた。



「あはっ!ごめんね!じゃあ行こっか!?ののっ」




華夜ちゃんは冬真くんから逃げるように、私の手を引いて玄関から逃走。




―華夜ちゃん・・・っ!?




走りながらさっきの華夜ちゃんの言葉を思い出す。



―「冬真がさぁ!」





“冬真”?






何か冬真くんに関係のある話なんだ・・・。



私は少し複雑な思いで、華夜ちゃんに手を引かれながら走り続けた。