「おーい、みんなやってるかー?」






満面な笑みを浮かべてやってきたのは、山川先生。




「せんせー遅っ!」

「もーやってるよぉ」


と、口々に言うみんな。




「おぉ、そうか!でっ?黒田~?楽しんでるか?」


先生はそう言って笑った。



「あ、はい、とても!」


私はジュースがいっぱいに入ったコップを持て言う。


「そうか!よかったよかった」



先生は何度も頷いている。



「じゃあ、俺は帰るけど、お前等もあんまり遅くなるんじゃねぇぞ」




来たばかりなのに、もう先生は帰ろうとしている。



「はぁ?何しに来たんだよ」

「暇人じゃなかったのかよ!」


男子が先生に向かって文句を言うと、先生はニヤリと口の端を持ち上げた。



「残念だったなお前等!俺は暇人じゃねぇ!これから用事があるんだ!」


そして、先生は高笑いしながら、坂を下りて行った。







「・・・気持ち悪」




隣に座っていた華夜ちゃんが、ボソリと呟く。




「つーか、先生やっと彼女できたんじゃねぇ?」

「あーあり得る!」

「ないっしょー!無理だって!」


男子が盛り上がっている中、私の隣の3人は・・・。




「キモイ」

「不気味」

「浮かれ過ぎ」


と、先生の悪口を言っていた。




―さ、3人とも・・・言い過ぎでは?




私は苦笑いしながらジュース口に運ぶ。








そして、嬉しそうに帰っていった先生の背中を思い出し、少しだけ口の端を持ち上げていた。