「和、わりーけど…。」
携帯止められそうなんだけど給料前なんだわ、とりゅうちゃんが謝る。
プラム色の、ルイヴィトンのペルルの長財布から2万円を手渡す。
「これで足りる?」
「カッコ悪いな、ごめん。」
和と電話しすぎなんだろうな、と裸の肩を抱かれ、頬にキスされる。
「いいの、りゅうちゃんに電話通じなくて困るのあたしだもん。」
もう一度小さくごめん、と呟いて、
「俺一生懸命頑張って、自分の店持てるようになるから。」
そしたら、な?と言われる。判りきっていたけれど。
「…そしたら、なあに…?」
髪をぐしゃぐしゃにされてわかってんだろっと抱きすくめられる。
「…俺の奥さんになって、和。」
幸せ過ぎて、涙が出る。
顔を覆って
「…ふぇーん…。」
と子供みたいな声を上げて、泣く。
「返事は?」
涙でりゅうちゃんの顔が歪む。

「はい。」