りゅうちゃんは、徹さんの経営する店のうちのひとつのバーテン見習になった。
光沢のシャツが暗い店の中光る。
「蝶ネクタイとかしてないの。」
和が店を上がるときにりゅうちゃんを迎えにいく。
「そんないかにもな店今時ねーだろ。」
竜司がとん、と和の前に置いたのは、グレープフルーツのジュース。
「お酒じゃないの?」
りゅうちゃんがふ、と笑って小声で言う。
「飲んでいい歳かよ。」
16歳のバーテンに何も言う資格はないと思う。
こう言う風にふつうに話したり、笑いあったりする日々が、戻ってくるなんて。

夢みたいだった。