「ほ、堀北さんっ?」 「明日、近くの神社で祭りなんだよね」 「え?」 「呼び出す口実としてはちょうどいいんじゃない?」 気まぐれで、少し意地悪で、毛並みのいい猫みたいなひと――― 「お礼は、いま先払いでもらっといたから。じゃあね、ユズ」 背を向けて手を振る後ろ姿を夕陽が照らして、 「ありがとうございました…!」 胸が痛むくらい、 綺麗だった。