ノイズ

文也は自分の部屋に入ると、壁際の室内灯のスイッチを入れた。


だが室内灯では明る過ぎるような気がして、学習机に備え付けてある小型スタンドに切り換えた。


椅子に座り、自分専用のノートパソコンの電源ボタンを押す。


微かな起動音がした後、ハードディスクの回転する音が静かな部屋に響く。


パソコンが完全に起動するまでの間に、検索すべきキーワードを頭の中で反芻する。



自殺シンドロームか……



ファミレスの中で三人で話し合った通り、裕美が自殺したと思う者は一人もいない。


裕美には悩みも全然ないし、学校生活は何のトラブルもなく順調そのものだったはずだ。


警察は覚せい剤の使用を疑っているようだが、裕美に限ってそれは有り得ない話だった。


つまり、自殺する動機が全く見当たらないのだ。


自殺ではないとしたら、考えられる可能性はいったい何だろう?