ノイズ

「頭痛大丈夫かしらね？裕美ちゃんが亡くなったショックもあるでしょうし…何だか心配だわ」



悪い予感でもするのか、紀子が不安そうな顔でつぶやく。


「ちゃんと薬飲んだから大丈夫だろ。だいたい母さんは心配し過ぎなんだよ。可奈のことになると過保護っていうかさ」



「可奈ちゃんのことは死んだ奈津子に頼まれたから…自分の娘だと思って、今まで大事にしてきたのよ」



「それは可奈にだってわかってるはずだぜ？正和おじさんは確かに可奈の父親だろうけど、今の可奈にとっては俺たちが家族なんだからさ」



「そうかしら？本当にそう思う？」



「んなこと、たりめーだっつーの。もし、可奈に何かする奴がいたら、俺がただじゃおかねーって」



文也は紀子に笑ってそう言った。



「父さんもう寝たんだろ？年なんだからさ、母さんも早く寝ろよ。皺が増えるぜ」



「んもう、あんたって子はっ！」



紀子のげんこつが飛んでくるより先に、文也は階段を駆け上がっていた。