ノイズ

「そんな訳ないでしょ。裕美のお兄さんの友達だよ?」



『…ったく、しょーがねぇな。俺もそこに行くから少し待ってろよ!』




それだけ言うと、文也はさっさと携帯を切ってしまった。



もう、いつだって子供扱いなんだから…



頭にきた可奈は乱暴に携帯を閉じると、ポケットに勢いよくほおり込んだ。


自分を心配してくれるのは有り難い話だが、いつまでも保護者気取りでいられるのも困る。


「今のは彼氏かい?」



狭い車内での通話だ。



プライベートな会話など聞きたくもないだろうが、内容は全部筒抜けだ。



「いーえ、単なる同居人ですっ」



頬を子供のように膨らませ、不機嫌きわまりない顔で可奈は言った。