ノイズ

可奈は順一に案内されて和室に入った。


和室の中からは、線香の匂いが漂ってきた。


部屋の真ん中に一組の布団が敷かれており、裕美の両親が両脇に座っている。


布団に横たわっているのは、裕美。


顔に白い布をかけられ、人形のように動かない裕美。


裕美は大好きなチーズバーガーを食べることも、カラオケで流行のJポップを歌うことも、冗談を言って思いっきり笑うことも、もう出来ないのだ。


一人に一つずつしか与えられていない命は、その役割を終えて、裕美の身体から去っていったのだ。


ここに存在しているのは裕美ではなく、悲しい抜け殻に過ぎない。