ノイズ

「マスコミはハイエナに等しい存在だ。決して、信用してはいけないよ」



可奈が幼い頃自宅のリビングでくつろいでいると、父親によく言われたものだ。


幼い頃から仕事の忙しい父だった。


海外出張が多く、遊んで貰った記憶もほとんどない。


それでも家族の記念日を忘れることはなく、亡き妻には薔薇の花束を、一人娘の可奈には苺のケーキを必ず買ってくれた。


高校合格のお祝いに携帯をプレゼントされてからは、週に1度位はメール交換するようになった。


親子なのにおかしいよね。


顔を突き合わせて生活していれば、どんなに仲の良い親子であっても衝突することは必ずある。


お互い生身の人間である以上、それは仕方のないことなのだ。


うるさく言われることがないので気楽と言えば気楽だが、どこか他人行儀な感じがして何だか寂しかった。