ノイズ

児童公園の向かいに裕美の家はあった。


周辺には数台の車が駐車されており、テレビカメラを持った人影もちらほら見える。


嘘でしょ。


これでは裕美の家に入ろうとする前に、マスコミに捕まってしまうではないか。


しかもこの辺りは住宅が密集していて、裏からはとても回り込めそうもない。



可奈は深呼吸をした。


裕美の家を目指して走るしかない。


可奈の姿を目ざとく見つけた女性リポーターが、カメラマンを従えて走ってきた。


「坂井裕美さんのお友達ですか?一言お願いします!」



ウザいなぁ。


リポーターはマイクを可奈の鼻先に突き付けて、取材しようと躍起になっている。


マイクを持ったリポーターの姿は滑稽であり、仕事とはいえ気の毒な気がした。