ノイズ

「あたし、裕美の家に行ってくるから。カレー先に食べてて」



「おい可奈っ!」



「待ちなさい可奈ちゃん!」



背後で叫び声がしたが、可奈はもう走りだした後だった。


裕美の家まで15分もあれば着く。


お腹は確かに減っていたが、そんなことはどうでも良かった。


あたし信じないよ。


裕美が死んだなんて、絶対に信じないんだから。


可奈の目からポタポタと、大粒の涙がこぼれ落ちる。


道なりに並んでいる街灯を頼りに、可奈は初夏の夜を走り続けた。