順一は雛森総合病院で外科医をしていた。


後ろに二人の看護師を待機させている所を見ると、これから回診に行くのだろうか。



「あたしたち立花さんが病院に運ばれたって佐々木さんからメール貰って…それで急いで来たんです」



「あたしたちってことは文也くんも一緒に来たのかい？君達は本当に仲がいいんだね」



順一は関心したように言った。



「立花がここに運ばれてきた時は驚いたけど、ただの脳震盪らしいから心配はいらないよ」



「本当ですか？」



順一は静かに頷くと、じゃあ僕は回診があるからまたね、と言って去って行った。



「今の裕美の兄さん？そう言えばさ裕美のやつ、兄さんのこといつも自慢してたよな」



受付から戻った文也が、順一の後ろ姿を目で追いながら言った。



「お兄ちゃんは優秀なお医者さんだって、いつも言ってたね」