ノイズ

「今日の晩飯の話だよ。可奈が作ったんだろ?」



後藤家に世話になっている身なので、時々家事を手伝っている。


今日は部活が休みで暇だったから、夕飯は可奈が作った。


「…カレーだけど」



「カレーかぁ。暑い時はやっぱ、辛いカレーが一番だよな」



「可奈ちゃんの作るカレー、わたしも早く食べたいわ」



気を使って言ってくれるのは嬉しかったが、その気持ちに応える余裕が今の可奈にはなかった。


目に涙が浮かんできて、ディスプレイの文字がぼやける。


可奈は急いで携帯を閉じると、スカートのポケットに押し込んだ。


これ何だろう……?


ポケットに手を突っ込むと、指先に何か触れる感触があった。


そっと指でつまんで、手の平に乗せてみる。