ノイズ

可奈は意外にも頑固な所があって、一旦言い出したら後には引かない性格だった。



「あたし絶対行くからね!」



「…しゃーねーな。ちょっとだけだぞ」



とうとう根負けした文也はため息を付きながらそう言うと、可奈のスクールバックを取りに教室に戻っていった。


文也の姿が視界から消えると、可奈は廊下の壁に寄り掛かった。


まだ少し目眩がする。


さっきまで貧血を起こした上に意識を失い、保健室で横になっていたのだから無理もない。


ふー、と息を吐いて目を瞑ってみる。


気を抜くとつい眠ってしまいそうだった。


文也には悪いと思っているし、わがままなのも充分わかっているつもりだ。


それでもやっぱりあたしは、立花さんのことが心配なんだろうな……