ノイズ

頭の芯が痺れたようになり、意識がだんだん遠くなってくる。


まるで海の底にいるように、すべての存在が希薄に感じられた。



……死ネバイイノニ……



「!」



背後から聞こえた声に驚いた可奈の体が、ビクリと反射的に動いた。


ノイズのように耳障りな音と、少女の声が一緒に聞こえる。



このノイズ……どこかで聞いたような気がする……



だめ……思い出せない……



記憶の底を探るよりも、この青白い腕から逃れる方が先だ。


前を歩いている文也の背中がどんどん遠ざかっていく。


頼みの綱の文也は可奈の窮地には気付かず、廊下を渡り終えようとしている所だった。