ノイズ

階段を降りて、一階のロビーへ向かった。


ロビーの椅子には文也一人が座っている。


「あれ?おばさんは?」



「母さんは車だよ。俺も刑事から色々聞かれてさ。まいったぜ」



「文也も事情聴取受けたの?」



「俺も一応、クラスメートだしな。あいつら、裕美が覚醒剤か何かやってるって思ってやがる」



「裕美が覚醒剤なんてやるわけないのに…」



可奈は悔しい気持ちで胸がいっぱいになり、思わず涙がこぼれそうになった。


「腹も減ったし、早く帰ろうぜ」



「…うん」



警察署を出て駐車場に向かって歩いていると、文也の母親がクラクションを鳴らした。


車に乗り込むと、二人で後部座席に座った。


可奈は制服のスカートのポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを眺めた。


ディスプレイに表示された時刻は午後の8時を過ぎていた。