ノイズ

「先生。実はあたしも沙織のことが心配だったんです。裕美の通夜に来なかったから、おかしいと思って何度も携帯にかけたんですけど全然繋がらなくて……」



話している途中で堰を切ったように、可奈の目から涙が溢れてきた。


今まで必死で堪えていた物が、一気に崩れ落ちてしまったのかも知れない。


「おいおい、何も泣くことはないじゃないか。村上のことだから心配はいらないと先生は思う。とにかく、はっきりしたことがわかるまでこのことは内緒にしてくれよ」



「……はい」



可奈はこぼれ落ちる涙を手の甲で拭い去ると、コクンと頷いてみせた。


「じゃあ先生は職員会議があるから。また後でな」



杉浦はそう言うと、そそくさと職員室に入ってしまった。


廊下に一人残された可奈は、スクールバッグからポケットティッシュを取り出すと、思いっきり鼻をかんだ。


鼻の奥がツンとして少し痛い。


顔洗った方がいいよね。



教室に向かう前にトイレに行くことにした。