ノイズ

制服に着替えてリビングに行くと、紀子が朝食の準備に追われていた。


「おはようございます」



「可奈ちゃんおはよう。悪いけど、トースト焼いてくれる?」



「おじさんの?じゃあ、二枚ね」



可奈は食パンをトースターに放り込むと、コーヒーを入れたマグカップをテーブルに運んだ。


「おじさんコーヒーどうぞ」



「あぁ。可奈ちゃんありがとう」



新聞を読んでいた文也の父親が顔を上げて可奈に礼を言う。


文也の父親は騒々しい紀子とは違って、寡黙だが優しい人だ。


公務員なのでいつも定時には帰宅し、ショコラの散歩に行くのが日課になっている。


出世なんかしなくてもいいから、うちのパパもおじさんみたいに家にいてくれたらいいのにな……