ノイズ

ハンカチから香水のような香りがする。


叔母の紀子が最近ハマッているアメリカ製の柔軟剤だ。


もう一度涙を拭いた後、ハンカチを鼻に充ててみた。


爽やかなフローラル系の香りを嗅いでいると、気分が落ち着くような気がする。


「そろそろ着くわよ」



紀子が後部座席に向かって声をかけた。


可奈の父親は1年前から海外に住んでおり、母親も7歳の時に亡くなっていたので、可奈は後藤家にやっかいになっていた。


雛森警察署に到着すると山崎という刑事に案内され、長テーブルがあるだけのただっ広い、会議室のような部屋に通された。


部屋の中にはもう一人、中年の刑事が待っていた。


「どうぞ座ってください」



中年の刑事は大沢と名乗った。