ノイズ

「沢村くんこちらへ」



教授に導かれるまま、暗闇の中を裏手に向かった。


大学には正門の他に、作業運搬用として設けられたもう一つの門がある。


そこに一台のワゴン車が駐車してあった。


教授が車のキーを解除し、ドアを開けて後部座席を示す。


沢村は黙って頷くと、後部座席に美佳子を寝かせた。



「うう………」



意識を取り戻したのか美佳子が呻き声を漏らした。


重い瞼を開け、焦点の合わない目でゆっくりと沢村の方を見る。


瞬間、美佳子と目が合い沢村は胸を衝かれる思いがした。


助けてやりたいけど、今となっては手遅れだ……



頭を振り、美佳子から急いで離れる。