ノイズ

沢村は絶望的な状況に追い込まれつつあるのを感じた。


早くここから出ないと、本当にヤバいことになるな。


そうだ、ドアが駄目でも窓があるじゃないか!



今、自分のいる有栖川教授の部屋は二階にあった。


あまり運動神経に自信はないが、二階なら何とかなるだろう。


沢村は踵を返すと窓に駆け寄った。


窓はごく普通のサッシで簡単に鍵は開いた。


幸いにも窓のすぐ下に木が植えてある。


万が一飛び降りる時に怪我をするかも知れないが、命の危険には代えられない。


沢村は意を決して窓から身を乗り出すと、ダイビングするために呼吸を整えた。


「そこから飛び降りるつもりかね?」



背後からの男の声に沢村の全身が凍り付いた。