ノイズ

「もしもし?もしもし?」



何度も呼びかけたが、受話器の向こうからはうんともすんとも言わない。


何かおかしい。



背筋を悪寒が走った。


沢村はその場に受話器を放り投げると、足早にドアに向かった。


床には瀕死の美佳子が横たわったままだが、構ってなどいられない。


今は自分の身の安全の方が大事だった。


「…え?嘘だろ」



ドアノブを左に回し押してみたが、ドアは全く開かなかった。


「おい!誰か開けてくれ!」



何度もドアを激しく叩いては叫んだものの、人気のないキャンパスに一体誰が助けにくるというのか。


自分は何者かに閉じ込められてしまったのだ。