ノイズ

安心したせいか、力が抜けた沢村は思わず床に膝を付いた。


混乱した頭が落ち着くと、脳裏にいくつかの疑問が湧いてくる。


美佳子はどうして有栖川教授の部屋に倒れていたのだろう？


あまり考えたくはないが、この部屋の主……つまり有栖川教授が関係していることは間違いない。


とにかく急いで救急車を呼ぼう。



警察に事情を聞かれるかも知れないが、今は美佳子の命を助ける方が先決だ。


沢村は立ち上がると、デスクの上の電話に手を伸ばした。


受話器を左手で持ち、番号をプッシュする。


数回の呼び出し音の後に消防署の職員が出た。


「火事ですか？救急ですか？」



「きゅ………」



救急車の要請を伝えようとしたのだが、突然電話は切れてしまった。