テレビ画面に裕美の写真が写し出され、コメンテーターと称する著名な心理学者が、もっともらしい解説を女性アナウンサーに話して聞かせていた。


《恐らく、この少女は精神的にかなり不安定な状態にあったのではないでしょうか。まぁ、この年頃にはよくあることなんですがね》



《教授、少女の精神状態がかなり不安定だったとして、何とか未然に防ぐことは出来なかったのでしょうか？》



《私たち大人もそうですが、現代人は常にストレスに晒され続けていますからねぇ。ましてや、思春期の高校生です。過度のストレスに耐え切れず、自らの命を絶つという非常に残念な結果になってしまったのでしょう》



したり顔で話し続ける心理学者と、感心したように頷く女性アナウンサーから、雛森市民に対する街頭インタビューへと場面は変わった。


「…立花さん、大丈夫ですか？」



テレビの前から動こうとしない立花を、佐々木が心配そうに覗き込んだ。


「…俺のことは気にするな。それより、自分の仕事に専念しろ」



「でも……」



立花は佐々木の肩をポンポンと叩いてから自分のデスクに戻った。