三人は無言で廊下を歩くと、二基並んだエレベーターの一つに乗り込んだ。


ドアが閉まり、可奈がコントロールパネルの一階ボタンを押す。


ほとんど振動もなく、滑らかにエレベーターは一階まで下りて行った。


「ここで待っていてくれ」



立花はマンションのエントランスを出ると、コインパーキングに駐車してある車を取りに行ってしまった。


「ふわぁーあ、なんか疲れたなー」



文也があくびをしながら思いっきり伸びをした。


目まぐるしかった一日の緊張を解きほぐすように。


雛森駅は港と隣接しているので、真夏でも結構涼しい。


今までエアコンの効いた室内にいたせいか、生温い風が心地好かった。


ふわり。


可奈の長い髪が風でそよいだ。