可奈は小首を傾げながら、脳内に眠っている記憶の糸を手繰りよせてみた。


山崎大介ってまさか。


どこかで聞いたことがあるはずだ。


昨日、自分に事情聴取を行った刑事の名前ではないか。


ちょっと待って。



担当の刑事が大学の後輩なら、たとえ守秘義務があったとしても、情報を聞き出しやすいのではないだろうか。


「もしかして、今まで山崎さんから事件の情報をもらってたんですか?」



「まぁな。もっとも、ニュースソースは山崎だけじゃないが」



新聞記者に限らずマスコミの人間ならば、複数のニュースソースを持っていて当然なのかも知れない。


「山崎には理恵が失踪した時から世話になっている。いつか、恩返しが出来ればいいんだが……」



立花はそう呟くと視線を床に落とした。