「おまえ、いつ指輪に気付いたんだよ?」



「昨日の夕方だよ。ほら、おばさんの車で警察署に行ったじゃない?あの時スカートのポケットに入ってたの」



可奈はポンッと、制服のポケットを叩きながらそう言った。


「昨日かぁ……う~ん…いったい……いつ……」



文也が珍しく眉間にシワを寄せながら、ブツブツ呟いている。


「あ、5時間目体育あったよな?そん時じゃね?」



体育など体操服に着替えなければならない場合、生徒は更衣室を使用することになっている。


指輪を持ち込んだ人物にとっては、まさに絶好のチャンスに違いない。


「それじゃあ、クラスの誰かがあたしのポケットに指輪入れたってこと?」



クラスメートのいったい誰が、指輪をあたしのポケットに入れたんだろう?


「いや、犯人が同じクラスの生徒とは限らない。他のクラスの生徒の可能性もあるし、教師にだって疑う余地はある」



立花の言葉に、可奈と文也は思わず顔を見合わせた。