ノイズ

そう呟いた立花の表情は悲しげに見えた。


「いないって……どこかに行ってるんですか?」



何かの都合で雛森市を離れているのだろうか。


それともまさか……


脳裏に浮かんだ黒い影を追い払おうと、可奈は頭を2、3度振った。


立花は可奈と文也、そして佐々木の顔を眺めてから、ゆっくりと口を開いた。


「…違う、そうじゃない。この指輪を渡してプロポーズした翌日に……理恵は失踪したんだ……」



「…えっ、そんな…………」



黒い影が勝ち誇ったように大きく広がる。


「俺も知りたい。なぜ、理恵の指輪が可奈ちゃんのポケットに入っていたのかを」



指輪を見つめながら、立花は噛み締めるように言った。