ノイズ

「そうだよ。こんなことでケンカしてる場合じゃないんだから」



今は仲間うちで争ってる場合なんかじゃない。


こうしている間にも、誰かが『死のサイト』を見てしまい、呪われた死の淵へと向かっているかもしれないのだ。


たとえ友達や知り合いでなくても、裕美のように死んで欲しくなどなかった。


ネットの噂通り『死のサイト』にたどり着くのは簡単ではないだろうが、諦めるわけにはいかない。


「文也。指輪かして」



「…え?あぁ。ほら」



可奈は指輪を持って立花の所に行った。


「…あの、さっきは文也が失礼なことばかり言ってすみませんでした。後で、よーく言い聞かせておきますから。本当にごめんなさい」



可奈はそう言って頭を下げ、立花の手の平にルビーの指輪をそっと乗せた。


「ありがとう。だが、理恵は今……いないんだ……」