ノイズ

「おまえ何言ってんだよ。どっかで拾ったのを忘れてただけだろ?」



「そうじゃなくて、ほんとにいつの間にかポケットに入ってたんだってば!」



どうして文也は、いつもあたしの話を信じてくれないのだろう。


ほんと、ムカつくんだから。



怒った可奈は、文也の手から乱暴に指輪を奪い取った。


そのまま、ズンズン玄関に向かって歩き出す。


だがドアノブに手をかけた瞬間、背後から誰かに肩を掴まれてしまった。


「キャッ!」



もう少し力が強かったら、バランスを崩して転んでいたかもしれない。


可奈は振り返って、自分の肩を掴んだ相手を見た。


紅いルビーの指輪を凝視している、立花の姿が後ろにあった。