ノイズ

「これからどこに行くんですか?」



「俺の同僚でオカルトに詳しい奴が一人いるんだが、そいつのマンションに行くつもりだ」



立花は煙草をくわえ、ハンドルを握った。


雛森駅方面に向かって車を走らせる。


「死のサイトってやつ、俺も探してみたんですけど、結局見つからなかったんですよ」



「…自殺シンドロームに死のサイトか。俺はオカルトは嫌いだが、今回ばかりはそうも言っていられないだろうな」



まるでため息をつくように、立花は煙草の煙りを吐き出した。


「路線バスの乗客4人に会って取材したんだが…その中の一人が妙なことを言うんだ」


「妙なことって、何ですか?」



「専業主婦の女性が言っていたんだが、カッターを握る裕美ちゃんの手の他にもう一つ、別な手が見えたそうだ。それは、小さな子供の手に見えたらしい」