ノイズ

「あ、はい」



立花は相変わらずのポーカーフェースで、さっさと前を歩いて行く。


「立花さんって、歩くのやたら早くね?」



「…だよね」



可奈と文也は遅れないよう、小走りになって後を追いかけた。


寺の外に出ると、辺りはすでに暗くなっていた。


夜風が少し冷たかったが、さっきまで人の波の中にいたので、返って心地好い。


可奈と文也は立花に促され、車の後部席に乗り込んだ。


立花は運転席に座ると、早速愛用のZippoで煙草に火を付けた。


「…生き返ったよ」



ヘビースモーカーの立花にとって、煙草を吸えない状況はかなり堪え難いものらしい。