ノイズ

「え?」



可奈は驚いてブレーキに手をかけ、思わず自転車を止めてしまった。


慌てて辺りを見渡してみたが、おじいさんの姿はどこにもない。


「急にどうしたんだよ?」



可奈の急ブレーキに驚いた文也も自転車を止めた。


「今、おじいさん通らなかった?」



「じいさん?じいさんなんて通らなかったぜ?」



「でも、今確かに…」



「おまえさ、時々変なこと言うよな。もしかして、霊とか見えるんじゃねーの?」



文也は首を傾げ、可奈の顔をジッと見つめながらそう言った。


「そ、そ、そんな訳ないでしょ。霊なんか見える訳ないじゃん」



可奈は慌てて否定したが、文也はまだ首を傾げていた。