家に帰ると、私は自分のタンスの奥から自分のトレーニングウェアと絵馬のトレーニングウェアを出した。
絵馬のトレーニングウェアは絵馬のお葬式の時、絵馬のお父さんが私にくれた。

コンバースのメーカーで所々印刷が切れていた。
私はそれをキュッと抱きしめた。

次の日の放課後、私はトレーニングウェアに着替えて体育館へと急いだ。
「あ!!リカちゃん来た来た!!」
冬崎先輩が軽いノリで言う。
安藤先輩はこっちを見てふっと笑った。

ヤバい…安藤先輩かっこよすぎ…

「あれ?!リカじゃん!!」
「葉月どうしたん?」
先輩部員全員が私の周りに集まってそんな事を言って来た。
「葉月。」
安藤先輩が手招きをして私を呼んだ。
「葉月。分かっているかもしれないけど、3ヶ月で大会の練習をするのはちょっと厳しい。」
「はい。分かってます。」
「ましてや1年間ずっとやってなかった体だ。
基礎からやらないと無理だろう…。」
「…はい。」
「俺が指導出来ればいいんだけど…あいにく俺部長だから…一人ばっか見るのは無理なんだ。」
「あ…はい…。」