何本目かのダッシュを終えて、私は考えた。 うーん。二歩目の時の足を、もうちょっと前に出すようにしないとだめかな。 次こそやってみよう、と思って顔を上げた時、トラックの外側を走ってくる集団が見えた。 その中のひとりと、目が合った。 秦野くんだった。 珍しいなー。今日は、バレー部は外で練習なのかな。 大会も近いんだろうし、基礎体力は大事だもんね。 ――秦野くんも、がんばれー。 ――ファイトっ。 声を出さずに、両方の拳を胸の前でぐっと握って、心の中でちょっと応援しておいた。