もう、走れない。 足の裏が傷だらけなのを、立ってから気付く。 …追いつかれちゃう。 最後の力を振り絞って、私は小走りに走った。 早く。 一秒でも、早くあの木にたどり着かないと…。 じょりじょりじょり じょりじょりじょり… ガシッと大木の幹を右手で掴んで支えにする。 ドサッ。 力尽きたように私は、大木の影に座り込んだ。 息が切れている。 ハァハァと出していた声にはっとして、咄嗟に口を手で覆う。 …そういえば、あの音が消えている。 どこかに行ったのかな?