ーー◆零 目線◆ーー


しばらくして、警察が事務所に来た。
裏口から抜け出した俺と心愛は、ひとまず岬を呼んで休憩することにした。


…心愛が、泣いていた。
初めて会った時も、壊れていて泣いていた。

俺は心愛をそっと抱きしめて、
「もう大丈夫だ」

と、ただ繰り返すことしかできなかった。

少し経つと、岬が車で迎えに来てくれた。
…どうやらブラッドも居るみたいだ。


「…零、大丈夫なのか?」

しゃくりあげながら泣き続ける心愛を見て、岬が俺に聞いた。
俺は「あぁ」と力無く返事をして、心愛を抱きしめる手に力をいれた。


…俺が連れていったせいだ。

あの時心愛の親父を撃った柩が憎い。

まぁ、警察に捕まったのだろうが。