「もしもぉし?誰ですかぁ?」

子供が相手なら強い口調で語りかけるのはNGだ。私は出来るだけ優しい口調を心がけながら声をかけてみる。

「近くに居るんでしょ?私とお話しない?」

独り言のように話しかける私。今は色武さんの言っていた情報を頼るしかない…。

相手が子供なら、会話ぐらいは出来そうな気がするし。

「……する」

全く気付かなかった…。驚きすぎて、心臓が飛び出るかと思った。

気がつくと壁を背に座っていた私の隣に、小さな子供が座りながら私に話しかけてきた。

「ビックリした…お名前は?」

隣の子供を良く見てみると、火に全く当たっていないのではないかと言うぐらい白い顔をした女の子だった。

肩で綺麗に揃えられている髪型で、毛先は軽く内側にカールしている。前髪は眉の上で綺麗に揃えられているし、女の子の表情はニコニコしている。赤と白のボーダーのワンピースを着た状態で、ちょこんと座っている様は、なんとも可愛らしいの一言に尽きる。

「…ユキ」

「ユキちゃんかぁ…何歳?」

私の質問にユキちゃんは、片手を広げ私の前に突き出す。

「5歳?」

私の言葉にユキちゃんは、笑顔で大きく頷いた。

これが霊魂という存在なの?あまりにも…可愛い過ぎないだろうか?少なくとも私の子供の頃よりユキちゃんは数倍可愛い。

思わず私は、ユキちゃんの頭を撫でてしまう。ユキちゃんは私に頭をなでられると、みずから自分の頭を私の手の方に寄せ、犬のように懐いてくる…。

私もそんなユキちゃんが可愛くて、頭をなで続けた。

「ユキちゃんのお母さんはどこなの?一緒じゃないの?」

断の札に書かれていた文字。それは間違いなくユキちゃんに関係する何かだ…。

私の言葉を聞くとユキちゃんは、表情を暗いものにし、私と少し距離を置く…。

「……知らない」

さっきまでの様子が嘘のように膝の間に首を隠し、ユキちゃんはそう呟く。