「い……くと」 ちっちゃい声で言った。 イキナリ名前でなんて、緊張するっ。 「なんて?聞こえへん」 ーーっ!性格悪いッ!!! 「郁斗」 「もっかい言って」 「…郁斗」 「……ヤバイ。 めっちゃ嬉しい」 なんかあたしまですごく嬉しくなった。 『郁斗』 その名前を呼ぶだけであたしも郁斗も嬉しくなるなんて。 気付かなかった。 こんなにも嬉しい気持ちになるならもっと早く、呼べばよかった。 .